↓NASAの日食情報へのリンク
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEgoogle/SEgoogle1951/SE1991Jul11Tgoogle.html
この日の皆既日食は太平洋で始まり、ハワイ、メキシコを通過した後ブラジルで終わるものでした。
ここ、サン・ホセ・デル・カボは観測条件が一番良くなるカリフォルニア半島先端に位置しています。
私の観測目標はとりあえずVTR撮影をしながら、この眼でしっかりと見るという単純なものでした。
以下、時刻はすべてメキシコ現地時間(グリニッジ標準時-7時間、日本標準時-16時間)
この日は皆朝早くから行動を開始し、観測地に向かうバスの出発時刻が来る前からホテルのロビーはザワザワしはじめる。
中には興奮のあまり、眠れなかった人もずいぶん居たようである。
(この気持ち・・・分かりますね!!)
バスに乗り約10分程で観測地に着くと我先に器材のセットアップ。
私は三脚を一本立てるだけでしたから凄く簡単でした。
前日のリハーサルが良かったのか、皆特にトラブルも無くセットアップ完了。
あとは食が始まるのを待つだけです♪
当日の様子:YouTube動画(3分15秒)
観測地周辺にはギャラリーも集まり、わいわいザワザワとしてきました。
頭の上には丸い太陽・・・この太陽に月の影が接近しているなんてチョット不思議です。
そして10時24分。いよいよ第一接触。
じわっじわっと月が太陽を隠し始めました。
太陽が半分ほど欠けると吹く風もだんだん涼しくなり、カメラの露出計は暗くなっていることを実感させてくれます。
手のひらで影を作ってみると光が漏れるところにくっきりと三日月状の太陽が映ります。
どんどん細くなっていく太陽
食の始まりから約1時間25分後、待ちに待った皆既が近づきました。
北の方の山にかかる雲が徐々に暗くなって影が迫ってくるのが見えます。
11時50分03秒、スッスッスッと暗くなって第二接触。
ダイヤモンドリングが輝き、周りから大歓声が沸き上がります。
さっきまで強烈な光を放っていた太陽は黒い円盤に変わり、その周りにコロナが輝いています。
カメラのファインダーで見るとずいぶん大きなプロミネンスも見えました。
自分の周りの明るさは満月の月夜ぐらいに思えます。
水平線の付近はオレンジ色になって朝焼けの始まりの様です。
空には金星や木星、明るい星が輝いていました。
警備の兵隊さん、おまわりさんも時々空を見上げては口をアングリと開けています。
長くて短い6分間が過ぎ、いよいよ第三接触です。
11時56分30秒、暗闇の中から光り輝くダイヤモンドリングが出てきます。
肉眼で見るダイヤモンドリングはこの世のものとは思えないほど美しいものでした。
(4個ほどのダイヤを鏤めたようなリングでした)
周りからは歓声、拍手・・・皆興奮を隠し切れない様子です。
太陽が徐々に姿を現して来ました。
あっという間に明るくなり、人々の影が地面に出来始めます。
南東の空には刻々と遠ざかる月の影・・・
皆既の観測が目的だった人はビールで「カンパ~~~イ」。
素晴らしいものを見た後なので皆ニコニコ。とても良い顔をしていました。
そして13時21分、第四接触を終えると太陽は何事も無かったかのようにギラギラと頭上で輝いていました。
観測地点 | メキシコ・カリフォルニア半島 San Jose del Cabo (サン・ホセ・デル・カボ) 西経109゜41’北緯23゜04’標高海抜50m |
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使用器材 | カメラ:PENTAX MX (SMC-A ZOOM 35-135mm F3.5-4.5) VTR:SONY CCD-TR55 (一部ND8フィルター・日食グラス使用) |